国家試験対策資料をA君に譲る
- さのはりきゅう整骨院
- 9月19日
- 読了時間: 5分
A君との再会
A君は大学時代の、連絡をそんなに取らない程度の友人でした。
2年遅れて接骨院の同じ学校(柔道整復師)へ入学したと聞いていましたが、実際に休憩時の講義室まで挨拶に来るとは思いませんでした。
ひさしぶり、と相変わらずさわやかな表情のその一方で、その内側に途方もない疲労感、悲壮感、絶望感を感じました。きっと厳しい仕事と学校の両立でヘトヘトだったのでしょう。私と同じ境遇だと直感しました。
「ひさしぶり、だ、だいぶ追い込まれてるね…」と私が言うとA君は
「そう?今年から入学してきたんよ、よろしくね」と、一度も見たことがないやつれて眠そうな表情で言います。
その日A君とは軽いあいさつ程度で、多忙ながらも力になれたらとふと思いました。
数か月ほど経ち、国家試験が終わり、もう引っ越しするしか用事がないような時期に学校の駐輪場でまたA君に再会します。
私は「いやー、クリスマスなのに自転車盗まれちゃってさ、つなぎにギアなしのこの自転車買ったんだけど、気持ち的に少し取り返したくてさ、この自転車1000円でどう?この辺は電車の乗り換え多くて時間がかかるでしょ?自転車で移動出来たら時間距離変わらない上に運賃の節約にもなるよ。独立目指すなら節約重要だよ」と提案しました。なんと上新庄駅と下新庄駅は違う路線です。
「自転車が1000円?安い。買う」とA君。
私はただ1000円で交換するだけでは淡白な気もするので何か譲るものが他にないかなと考えました。思いつきました。
「国家試験終わったから国家試験対策資料もう必要ないんだけど、欲しい?結構仕上がってるよ」
A君はぜひもらいたいといいました。
国家試験対策資料に工夫を添えて
どの学校も講義用のプリントが配られ、教科書と一緒に講義が進められると思います。
国家試験対策には過去問も20年分くらいは必要でしょう。つまり一式そろえるなら①各講義用プリント②各教科書③過去問20年分です。これに最初の1回目の国家試験勉強の際にかなり大変ですが、私なりの工夫をしました。①と②と③を互いにリンクさせたのです。理解を深めたい文に線を引いてこう添えていたのです。
①p251上から8行目を→略して①p251上8とします。これを1通り全部勉強する際に、①p251上8⇔②p361下4⇔③p102中くらい⇔①p251上8と相互リンクさせるのです。そうすれば2回目の勉強の際に理解記憶不足の文の①②③それぞれに知りたい内容に瞬時に”飛べる”ようになっているのです。(①→②③、②→①③、③→①②という感じです)
つまり「ここまだ覚えてないな、調べよう、うーん15分探しても見つからないな、ちょっとコーヒー飲もう」←こういう非効率が2回目以降なくなるのです。例えるなら学問的なインフラ工事です、けもの道を舗装するのは難儀ですが、舗装したら次からはスムーズに進めます。
③の過去問だけで言えば、1年分230問×20年分×2文章=9200の文章に相互リンクを添えました。(1問4択の4文章なので×4にしたいところですが、明らかに正解or間違っているものは添えていないので、×2と仮定します。ちなみに、A”適切な文を選べ”よりもB”適切ではない文を選べ”の問題の方が好きでした。Aは残り3文が間違っているのでなぜ違うのか調べないといけません。Bは残り3文が正解の文なので、1文を調べたら残り3文をそのまま覚えればいいからです)
1セット=勉強50分+気分転換10分
試験勉強する上で10時間全集中できるような人は少ないと思います、私のような元理系は特に。私の工夫としては50分で区切りをつけ+10分は気分転換することでした。
ここまで進めようという勉強ノルマが人それぞれあると思いますが、勉強時間50分を区切りを設けて勉強すると心理的に効果的です。例えば残り時間15分でノルマが達成できないペースだと知ったら焦ってもっと早く覚えようとします。もし残り15分でノルマ達成したら2セット目も早めにこなし予期せぬ勉強の行き詰まりに備えることができます。ノルマはあった方がいいです。
その全集中の先には気分転換10分というアメちゃんを用意します。ウイイレ10分設定がおすすめです。その昔、ウイイレの私のスタイルは 様子見の日本代表、少し本気のアイルランド、本気のイングランドでしたが、チーム選びに時間を食っては身も蓋もありませんので、とにかく気分転換できるチームを予め設定し、10分で試合終了にも設定し、あとは毎セット時の気分転換タイムが来たらすぐにリトライです。効率のいい気分転換です。ロスタイムはご愛嬌。
目安としては、休日は1セットを9回くらい(10セット辺りから効率悪い)、仕事+学校の平日は2,3セットくらい、片方どちらかの日は5セットくらい(←こういう日が意外とはかどります)がいいです。
国家試験対策資料をA君に譲る
A君にはA君の土地勘のない私の下宿に来てもらいました、淀川沿いです。ある程度の対策資料の工夫の見方を教えて、一緒に天一で1杯食べた後に、資料ありがとうとA君は御堂筋線へ向かいます。
両手の紙袋いっぱいの資料の重みもあって、丸めた背中の後姿はまるで砂漠の旅人です。
同じような境遇の人を象徴したセリフがあります。ある学会でT君と久しぶりに会い、仕事と学校の両立の話になった時に
「職場で俺の同僚、テスト期間だからって昼休み削って勉強してるんだ、偉いよなー、俺も接骨院の免許取ろうかな」です。
後にT君はその免許を取得し開業されました。おめでとうございます。学会の時に”皆に配ろうとしていたけど話に夢中になって配れなかった”東京バナナを箱で貰いました、その日、夕飯代わりに全部おいしくいただきました。勉強疲れ後の夕飯作りは非常におっくうだったので助かりました。
その後、A君は無事卒業し免許も取得しました、開業もされていてご活躍されています。本当に地獄のような期間お疲れさまでした。最近、A君は患者さん向けの本も出したので早速買いました。
A君らしい誠実さがにじみ出るような本に仕上がっていました。今後さらなるご活躍、応援しております。
これはA君も知らないのですが、更にその昔、わたくし「A君が好きだから」と女子に振られました。
意識してみれば、何とまあ癖のないトゲのない本当に”いい人”なんです、A君は。



