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国家試験のエピソード

  • 執筆者の写真: さのはりきゅう整骨院
    さのはりきゅう整骨院
  • 2025年8月19日
  • 読了時間: 5分

更新日:2025年9月19日

国家試験のエピソード

あの日はクリスマスなのに自転車を盗まれたので、よく覚えています。残り3か月で学校を卒業なので自転車が必要になくなるその日にでも盗んでほしかったです。

すぐに職場に遅れると謝罪し、ギアなしの安い中古自転車を買いました。


仕事を終え、学校に着くとNさんがいます。Nさんは8歳年上なのに いわゆる天然でなごみのある方で、当時の例えるなら砂漠の長旅のような過酷な毎日に、無自覚でしたが1滴水をくれるような人でした。

「この前の模擬試験何%だった?」とNさんは聞きます。88%というとNさんは

「俺25%、今回の国家試験はあきらめて次回にするかな」というのです。

補足

残り2か月と1週間で模擬試験正解率25%ははっきり言って絶望的です。3年間の単位を全部取れば国家試験を受けられるのですが、Nさんはおそらくぎりぎりでだったのでしょう。しかし諦めるわけにいきません。

というのも その数週間前に名も覚えていない方(NOKさんとします)が、私にこういったのです。「お前1歳年下なんだから敬語使えよ」と。1歳くらいいいじゃないかと思いましたが、ここで反論すれば例えるなら砂漠の長旅の炎天下で喧嘩するようなもので、エネルギーの無駄遣いです。私は丁寧に敬語で謝罪し、その場は「ならいいわ」と収まります。しかしその数日後、NOKさんが8歳上のNさんの肩を無理やり組んで絡んでしました。Nさんは困った顔でしたが、いい人なので拒否できない様子でした。いやNOKさんの言動は矛盾していますし、何よりNさんのようないい人を困らせているのは正直腹立だしかったですが、その場は何も言うことなく後にしました。

このことを思い出し、Nさんを合格させようと思いました。

厳しい現実

「Nさん、残り2か月ちょっとですが、ダメ元でもいいから本気で頑張りませんか?自分教えますんで」

私が今回の国家試験を本気で受けてみる提案をしたのはそれなりに理由があります。1回落ちた組が再度1年後に2回目の国家試験を受けると現役組よりも合格率が落ちるという統計があります、3回目は2回目よりも合格率が落ちます。落ちるスパイラルにはまるのです。

だから今回の試験は本気で臨んだ方が今回だめでも次回受かる確率を上げるためには必要なことだと感じたので、かなり元気づけました。

Nさんは「じゃあやってみるかな」と言いました。私は数ある資料を効率よく勉強してもらうために、よく出るところを教えました。と同時に”勉強してはいけない所”も教えました。例えば、30ページで30問出るようなところは”お得”なところです、30ページで1問出るようなところは”お得ではない”ところです。正月休みを有効に勉強してもらうために、かなり丁寧に仕分けしました。

Nさん喜んでいたと思います、勉強してはいけないところ=勉強しなくていいのですから。

注:Nさんのように切羽詰まってなければお得ではないところも勉強した方がいいです。残り2か月しかない状況ではないなら全部勉強した方がいいです。また解剖学や生理学などの基礎科目は絶対に削ってはいけません。

国家試験当日

国家試験当日、私は心配性なので2時間半しか眠れませんでした。なんといっても3年間の集大成のようなイベントなので寝付けなかったのです。でもモラウさんの「絶好調が100としたら35か、いや今は任務に専念すべし」的なセリフを思い出し、やる気を出しました。100均で買った鉛筆と鉛筆削りと消しゴムとタウリン系飲料を大量にバッグに入れていた気がします。

試験会場はやはりいつもの学校と雰囲気が違って多数の学校の生徒が集まれる場所でしたから、かなり広かったです、自身の席の周りに全然知った顔がいないのです。

昼休みになるとNさんが「この問題どうだった?」と聞いてきましたが、かなり捻ったというか答えが複数あるような変な問題でしたので、Nさん間違ってると思いましたが「今は午後の試験に集中しましょう」とだけ言いました。補足、答案用紙は会場に提出し、問題用紙は持ち帰れました。

国家試験数日後に答え合わせ

数日すると学校の先生方が作った答えが学校で配られるので、答え合わせに学校へ行きました。Nさんの解いた問題も気になっていました。必須問題は30問で23点以下なら他が満点でも落ちます、一般問題は200問で119点以下ならそれでも落ちます。

Nさんの結果は必須問題30問中24点、一般問題200問中120点でした、どちらも1点でも間違えば落ちていたところです。私は「ぬか喜びになってはいけないので、不適切問題は間違っていると仮定してもう一度計算しなおしてください」と言いました。

補足

答えが複数あったり、答えがどこにもなかったりする問題は不適切問題とされています。こういういわゆる不適切問題は全国の多くの学校により”お上”に指摘がされ、不適切問題はどれを選んでも正解とするように申し出がされると聞きました。私の場合、先生方が作った答え(不適切問題は正解とする)は93.4%でしたが、”お上”の答え合わせは91.7%だったので、おそらく多くの学校側の主張は却下されたのでしょう。

Nさん受かった

もう一度、不適切問題をないものとして計算してもやはりNさんは受かってました。学校の廊下の端で談話していると、廊下の向こうから教頭先生的な方が

「N !N ! 受かったじゃないか!どうした!?どうした!?」と早歩きで向かってきます。

「佐野が教えてくれた」とNさん。

「おお!そうか!そうか!」と後を去る先生。

2週間後の謝恩会では、例のNOKさんがNさんの前でうなだれているのを、遠目で発見しました。

おそらくこう言っていたのでしょう。

「なんでお前受かってるんだよ!次回おれ1人じゃないか!」のようなことを言ってそうな雰囲気でした。

Nさんは出身地の隣の隣の県で開業しました、ご結婚もされて、私はその家族の生活基盤の一助になったことをうれしく思います。


実力をつけた方々はNさんのように”いい人なのにもったいない”と思えるような人がいれば各々の判断で手助けしてみてはいかがでしょうか。きっと学校の先生方や進学塾の講師の方々のやりがいの一端を感じられると思います。



 
 

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