お年寄りになると背中が丸くなる方がいらっしゃいますよね。
あれは円背といってただ姿勢が悪いんじゃなくて骨格から背中が曲がっているんです。
(もっとひどくなると亀背といいます)
原因のほとんどが閉経による女性ホルモンの低下
原因は主に骨粗しょう症によるものです。まず骨粗しょう症は女性に多いんです。
男の人で背中が曲がっている人ってあまり見かけませんよね。
(中には副甲状腺のホルモンの異常などで男の人でも曲がる場合がありますが)
なんで女性に多いのかというと閉経を向かえる時期になると女性ホルモンが低下するからなんです。女性ホルモンは骨の中の骨芽細胞というカルシウムを骨にくっつけてくれる大工さん的な存在の細胞をうまく働かせてくれるんですが、女性ホルモンが減るとその大工さんが働かなくなります。
一方で破骨細胞という骨の解体屋さんもいるんです。大工さんと解体屋さんが同じくらい働いてくれると骨の新陳代謝のバランスが取れて骨は丈夫なままになるのですが、女性ホルモンが減ると解体屋さんはてきぱき働き続け大工さんは逆に働くなってしまいます。
そうなるとどんどん骨からカルシウムが減ってしまい、少しずつ本当に少しずつ10年くらいかけて骨がスカスカになり始めます。これを骨粗しょう症っていうんですね。
(骨粗鬆症は女性の宿命ともいわれます)
一気に圧迫骨折になるものと、いつの間にか骨折になるもの
すると椅子に一気にどかっとすわったり転んで尻もちをついたりすると一気に背骨が圧迫されて折れてしまいます。この場合激痛になります。
最悪なパターンは圧迫骨折で激痛のため入院⇒長期間寝たきり⇒筋委縮(筋肉が痩せちゃう)が起って動けない⇒介護施設で寝たきり、になってしまいます。そうなると自由に生活できていた時と比べて残りの人生がつまんなくなりやすくなってしまいますね。
また衝撃がなくても徐々に背骨が圧迫骨折する場合もあり痛みはあまりありませんので入院することはありませんが確実に背中が丸くなっていきます。一般の方が言う、いつの間にか骨折というものです。
こうなると、どちらも元に戻せませんので、骨がスカスカにならないように予防することが重要になります。
予防はカルシウムではなく、薬と適度に歩くこと
いっぱいカルシウムをとっても意味がありません。骨芽細胞(大工さん)がいくらコンクリート(カルシウム)を血管から運ばれてきても、それを骨にくっつけてくれないからです。というか、それが骨粗鬆症です。
予防の一つとしてお薬があります。お医者さんに相談してレントゲンや骨密度検査をして「骨が薄くなっているね」となったら骨を丈夫にするお薬を処方してもらってください。
10年位前私が修業時代に古東整形外科内科に勤めていたころ、ベネットと言うお薬が画期的でした。一か月に一回の服用で済むからです。当時は毎日朝一番に薬を水で飲み、寝ても食べてもいけないというものでした。今ではもっといい薬があるかもしれませんので、閉経になって10年くらい経った方はぜひ骨密度検査を定期的にお医者さんにしてもらって骨のチェックをしてくださいね。
もう一つの予防は「適度に歩く」ことです。骨は微小な軸圧がかかると丈夫になりますので、ちょっと散歩するだとか近場まで買い物に行くだとかが骨粗しょう症のいい予防になります。この時くれぐれも転ばないようにして下さいね!先ほど言った最悪のパターンになってしまいますので、歩行がよれよれするような方はぜひ、転ばぬ先の「杖」をご利用ください。
もし他の疾患にも興味があればこれらのブログも参考にしてください。
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